Abstract:

近年、次世代移動体通信システムである5Gの研究開発が進められている。5Gでは従来のLTEに代表される4G規格の後継であり、低遅延・広帯域化・大容量化を目標としている。また、これらの要求を達成するためには、符号化方式等のハードウェアだけでなく、ソフトウェアによるネットワークの性能向上が必要とされている。

本研究では、5Gの要求を満たす移動体通信システムをソフトウェアの面からサポートするための移動体通信システムのネットワーク機器をソフトウェアにより定義可能な技術の提案を目的としている。具体的には、ネットワークの仮想化技術を用い、基地局であるeNBをMobile-edge Computing (MEC)としてアプリケーション提供者やネットワーク管理オペレータに計算資源を提供する。同時に、Backhaul Network, Core Network, Internetにも仮想化された計算資源を適切に管理・分配し、eNBからクラウドまでそれぞれのネットワーク機器と接続を仮想化する事により、自由にプログラム可能なネットワークの提供を目的としている。

さらに、5G環境におけるネットワークの仮想化と管理機構の実現のため、Application Drivenの研究としてVideo Streaming/Conference with Backhaul ICNに取り組んでいる。我々は、ビデオ通信をターゲットに、冗長な通信が発生するBackhaulにICNの技術を用いトラフィックを削減し、MECであるeNBにて従来のIPと互換のある通信に変換する手法を提案している。本技術により、ユーザ端末の変更無しにビデオ通信の収容容量を向上する仮想ネットワークを5Gネットワークとして提供する。また、本研究開発から得られた知見を元に、5G環境におけるネットワーク仮想基盤の管理方式を検討し実現する。