Abstract:

各種IoTデバイスやスマートフォンの普及により日々大量のデータが生成され、生成されたデータが様々なサービスで利用され、新たな価値を生み出すデータ主導社会が到来している。例えば自動車関連ではカメラやセンサー情報を用いた自動運転、協調運転、安全運転支援、さらには同乗者へのコンテンツ配信などのサービスがあり、これらは低遅延、広帯域など様々な性能が求められる。このように移動体で生成・消費されるセンサデータやメディアデータなどのIoTデータを高スループットでかつリアルタイムに処理するプラットフォームとして、MEC(Mobile/Multi-access Edge Computing)が重要である。しかし、そのMECの利点を様々なサービスで享受可能にするためには、多数のMECを広くフィールドに配備する必要があるが、非常に高い投資コストがかかる。

それに対して、我々は汎用サーバハードウェアを活用し、その上にサービス機能だけでなく、モバイルネットワーク機能までソフトウェアで実現するソフトウェア化技術と、そのソフトウェア化技術の柔軟性を活かしたスライシング技術に取り組んでいる。MECは広帯域かつ低遅延なデータ処理が可能であるとされているものの、MEC機能を備え、かつ実地配備されたソフトウェアモバイルネットワークの性能については明らかにされていない。さらに同一MEC上に低遅延および広帯域スライスを搭載した場合のスライシング方式についても未確立である。今回我々はMECを備えたソフトウェアモバイル網を大学構内に実際に構築し、その性能についてフィールド評価を行うとともに、スライシング方式を提案・検証した。