Abstract

我々は,Software Defined Networking(SDN)のデータプレーン要素に,QoS制御を行うネットワーク機能をソフトウェアによって拡張し,アプリケーション毎に柔軟なQoS制御を行う機構を提案している.
本研究では,新規のQoS制御手法として,WFQによる優先制御を行うアルゴリズムと,キュー容量の動的変更を行うことでパケットロスを抑えるDynamic Queue Controlのアルゴリズムを組み合わせることで,指定したデータフローに対して輻輳時のパケットロスと遅延を抑える方式を提案する.
この提案手法を,SDNにおける集中制御手法により複数のネットワークノードに適用し,協調動作をさせることで,既存手法よりも効果的にパケットロスと到着遅延を軽減するQoS制御を実現する.
本提案手法を,小規模なネットワーク上で,ユースケースの1つである動画ストリーミング配信を用いて評価を行うと,パケットの到着率は最大で60$%$向上し,パケットの到着時間も最大30秒改善されるという結果が得られる.この結果から,規模の大きいネットワークにおいても,提案手法によるQoS制御を複数のネットワークノード上で協調的に行うことで,輻輳時のパケットロスと遅延を削減可能であると考えられる.

徳永竣亮, 安藤翔伍, 中尾彰宏. “SDNにおけるデータプレーン要素の拡張によるアプリケーション特化型QoS制御手法”. 信学技報, vol. 115, no. 483, NS2015-173, pp. 31-36, 2016年3月. copyright©2016 IEICE